当学科は、社会と暮らしを支え、災害を防ぎ、環境を守る工学分野の教育を行うとともに、道路・橋・港湾・鉄道・空港などの社会インフラを建設する技術を研究・開発しています。社会インフラは、人々がその恩恵を等しく受けることが大切であり、そういった思いを込めて作られてきました。また、それと同時に、社会インフラは災害を防ぎ、環境を守っていくものでなければなりません。当学科はそういう高い使命感をもって社会を根幹で支える技術者、研究者を養成する学科です。

さて、当学科の前身は1939年に開設された官立宇部工業高等学校採鉱科と鉱山機械科になります。戦後の学制改革により、両学科は土木工学科と鉱山学科(1964年に資源工学科)になりました。その後の高度経済成長に伴って社会からの要請は広範かつ高度なものになってきました。それに対応すべく、1980年に土木工学科に建設工学科が併設され、1990年10月に土木工学科、建設工学科、資源工学科の一部、工業短期大学部土木工学科が統合して、社会建設工学科が誕生しました。

このように、当学科は80年を超える歴史を有し、卒業生数は4591人(2020年12月時点)になります。これは中国地方の同種の学科の中では一番多く、全国的にみても有数の規模と伝統を誇ります。卒業生は社会各界において大きな力を発揮されています。

また、教育のグローバル化にいち早く対応すべく、他大学に先駆けて、2003年度に東アジア国際コースを開設し(現在、社会建設工学と東アジア国際の2コース制)、世界に通用する技術者の育成に取り組んでいます。特に注目いただきたい点は、当学科で行う専門教育のプログラムは日本技術者教育認定機構(JABEE)によって国内だけでなく国際的に通用する水準を満たすものとして保証されていることです。これにより、当学科を卒業すれば、国家資格の技術士補の登録ができます。

古来より、人々は日常を安全・便利・快適にすることによって社会を発展させてきました。私たちが日常で行っていること、たとえば学校や職場に通ったり、旅行に行ったり、趣味やスポーツを楽しんだりすることは安定した社会インフラがあってこそできることといえます。しかし、大雨や地震による災害の発生などの災禍によって、社会インフラが失われると、その日常は一変します。みなさんも、昨今の自然災害から、その影響の大きさを実感されていると思います。

安定した社会インフラは一朝一夕にできるものではなく、10年や20年と長い年月がかかるものです。また、社会インフラは50年、100年と修繕しながら永く使われ続けるものですので、その間の地震や大雨に耐えるよう頑丈に設計されます。近年では社会・経済の変化、人口減少、気候変動などを考慮して計画,設計,施工されています。

社会建設工学科がカバーする分野は、人々が幸せな生活を送り続けるために、次の時代を見すえて、社会インフラの整備や保全を考えていく広く大きな分野であるといえます。

当学科に対する社会での役割や期待は益々大きくなっております。それに応えるよう、学生と教職員が一丸になって、日夜研鑽に励んでています。各方面からのより一層のご支援をお願い申し上げます。

山口大学工学部
社会建設工学科
学科長・教授

吉武 勇