第9回防災・減災講演会を開催しました

カテゴリ: 2023年11月01日 15:40
2023年10月3日(火)に「第9回防災・減災講演会-地震、豪雨による道路被害から学ぶ」(地域レジリエンス研究センター防災・減災グループ、グローカル環境・防災学研究会共催)が山口大学工学部会場とWEB配信を併用したハイブリッド形式で開催されました。会場では関係者等13名が参加し、WEBでは大学、民間企業及びその他一般から400名が参加しました。本講演会は2名の講師をお招きして2部構成で行われました。
 
第1部では、東京電機大学名誉教授・東京電機大学総合研究所客員教授の安田進氏に、地震時の道路盛土の被害について講演いただきました。2004年新潟県中越地震における関越自動車道、2009年駿河湾沖地震における東名高速道路及び2007年能登半島地震における能登有料道路の被害事例を写真とともに示しながら、盛土崩壊の原因・メカニズムについて説明があり、高速道路の盛土はよく締め固められているため地震時に変状し難いが、600 Galを超えるような大変強い地震動だと変状すること等が紹介されました。また、2011年東北地方太平洋沖地震における東京湾岸などの市街地での平面道路の様々な液状化被害事例についても、メカニズムとともに紹介がありました。
 
第2部では、東日本高速道路株式会社技術本部シニアエキスパートの横田聖哉氏に、高速道路におけるのり面災害と対策の動向について講演いただきました。2019年上越自動車道の大雨による地すべり災害、2021年常磐自動車道の切土地震災害及び2022年常磐自動車道の盛土地震災害について説明があり、いずれのケースも災害のきっかけは稀にみる大雨や大地震ですが、計測機器を設置して観測していたことで災害後の解析に役立ったことが紹介されました。盛土災害は、大雨の後に盛土内の地下水位が高くなり、その後の大地震をきっかけに被害規模が大きくなるため、特に透水性が低い土が使われている場合は注意が必要なこと、そして設計段階から十分な排水対策を考慮する必要があることが述べられました。現在、同社では、全線の航空レーザー測量によって微地形を把握し災害リスク分析を行うことで災害形態を予測しており、今後はリスクの高い箇所について現地調査を進めていく等最新の対策についても紹介いただきました。
 
地域レジリエンス研究センター防災・減災グループ(旧 地域防災・減災センター)HP
 
【講演内容】
[第1部]
講師:安田 進 氏(東京電機大学 名誉教授、東京電機大学総合研究所 客員教授)
講演題目:「地震時の道路盛土の被害」
[第2部]
講師:横田 聖哉 氏(東日本高速道路株式会社技術本部 シニアエキスパート)
講演題目:「高速道路における最近ののり面災害と対策の動向」