社会建設工学科4年生が中山浄水場を見学

カテゴリ: 2023年05月18日 11:32
5月12日に宇部市中山にある中山浄水場を4年生の土木構造物設計演習の授業の一環で見学いたしました。2018年以来5年ぶりの見学となりました。
中山浄水場は緩速ろ過を用いる浄水場として大正13年(1924年)に炭鉱用の沖ノ山水道に始まり,その後市の施設として増量工事を重ねて現在に至ります。中山浄水場は来年建設100周年を迎えます。
当日は9名の宇部市水道局の職員の方々にご案内いただき,緩速ろ過浄水場の特徴について教えていただきました。
緩速ろ過は19世紀に英国で誕生した濾過方式でコレラや赤痢,腸チフスからヨーロッパの市民を救いました。原水の濁質が低濃度で比較的清澄である場合に有効な浄水方式です。また,一般的な急速ろ過と異なり凝集剤などの薬品を用いないという特徴があり,基本的に微生物膜による濾過と砂濾過の組み合わせによる浄水過程となります。そのためpHも調整されず,ポリ塩化アルミニウムの添加もありません。自然のチカラにより水は磨かれていきます。
さらなる驚きはバルブの制御が全て手作業であり,コンピュータの力を借りていないことでした。そのため職員が昼夜分かたず交代制でバルブの開閉によって濾過速度の制御を行っているということを聞きました。また,濾過砂の更正作業も熟練の職員の手作業で行われます。テニスコートの整備にも用いられる,いわゆる「トンボ」を用いて表面の砂を削ります。
ほぼ全てがマニュアルな昔ながらの浄水場を見守る職員の皆さんの熱意と責任感に支えられて今日もおいしく安全な水が供給されています。
見学した学生からは,「現在行っている設計演習との結びつきがよく理解できた」「夏場と冬場で微生物の管理の方針が異なるのではないか」「現在の職人技のような,経験で行っている作業をどうやって引き継いで運営していくのか」等,4年生らしい様々な感想や質問が寄せられました。